好学の企業文化

年初にお伝えした通り、今年から全社員参加の勉強会を始める。それも異業種4社からなる合同研修である。何年も前からこうした研修の必要性を感じていたが、社内の意識醸成と賛同してくれる会社探しで難航していた。昨年志を同じくする勉強仲間からの誘いもあり、漸く実現にこぎつけることが出来た。

我が社は中小企業ながら地道に勉強の機会を設けている会社だと自負している。と言っても送り出しの中心は幹部候補生であり、資格取得研修以外の機会が全社員均等にあるわけではない。まれに「この研修に行きたいのですが」という嬉しい申し出もあるが、年に一人いるかいないかのレベルである。皆さんの中には研修と聞くだけで心が重くなる様子が見て取れる人もいる。日々の仕事をこなしつつ一日を社外で学ぶ分、当然時間のやりくりは大変だし、研修中に事前課題があればもっと心が重くなるのも理解はできる。

しかし、考えてほしい。皆は学校を卒業してから何年が経過しているのだろうか?そもそも学校で習ったことは現在の仕事に直接役立っているだろうか?

たった16年前後の学びだけでその後の40年にも及ぶ職業人生を過ごすことには無理がある。企業の置かれる環境は日々変化している。環境が変化すれば当然それに添った自分自身のアップデートも必要となる。アップデートを疎かにしたまま今担当している仕事をずっと続け、経験値によりベテランと言えるようになってもそれは社内に限られたことで、外を見ればもっと環境の変化を捉え実力のある人はいくらでもいると思う。

井の中の蛙にならないためには情報の収集と学びが欠かせない。情報は活字やインターネットを介していくらでも取ることができる時代だが、その情報を求めるのが自分である以上興味関心は自分の器以上にはならないし、学びの範囲も限られてしまう。自分の器以上の気づきは、やはり人と人との関わり合いの中からでしか生まれないと感じる。

今回業界の異なる3社の社員の方々と一堂に会し研修を受けることで、一つの事柄に対しても見方や判断が異なる経験を沢山してほしいと思っている。グループワークでは大いに意見交換をしてほしいし、その中から気づきと刺激を受けてほしい。そして少しでも自社の外に存在する大海に目を向ける機会が増えることを願っている。社員一人一人が外の変化に敏感になり仕事上の課題を捉えられるようになれば、個人の成長はもとより会社の成長にも繋がってくると思うのだ。

私はこの研修を一年一年と続ける中で、社員皆が「学ぶことが楽しい」「外部の刺激を受けることが楽しい」「自分の世界を広げたい」と当たり前に思う好学の企業文化を作っていきたいと考えている。

挨拶について思うこと

月曜日の全体朝礼で、私はよく社員の皆さんに挨拶の話をする。それはそれだけ挨拶が大事だと思っているからだ。私が小学生の頃は朝、児童が教室に入るとき「お早うございます」と大きな声で挨拶をすることが当たり前の風景だったが、大人になるに従い、声を出して挨拶をする人が少なくなったように感じる。周りを見ると、挨拶を交わしても小さい声や会釈だけの人も多い。

お客様が来社された時も同じだ。大きな声で「いらっしゃいませ」と迎える人と、会釈だけで済ます人がいる。仕事で手が離せない時や電話中などで仕方のない場合もあるが、私はやはり社員の皆さんが声を出して気持ちよく挨拶できる職場であってほしいと思っている。

先日、勉強仲間が経営する会社の工場を見学させてもらった。職場は8割以上が女性の職場であるが、すれ違う方が一様に笑顔で大きな声で「いらっしゃいませ」と挨拶をしてくれた。素直に気持ちが良いと感じた。挨拶だけで会社の印象は格段に良くなると思った。プラス笑顔があれば言う事なしだ。

お客様を始め、当社に出入りする人々が皆マエダを「気持ちの良い会社」と感じていただけることは大切なことだと思う。誰も感じが悪い人と付き合いたいとは思わないし、感じの悪い会社から物を買う気にはならない。

気持ちの良い挨拶ができるということは差異性の一歩である。

仏教に「和顔布施」という言葉がある。「自分は見えない自身の顔は相手の為にある。だから相手を不快にさせないためにいつも穏やかでにこやかな顔でいよう。それは布施に繋がる」以前伺った延暦寺の高僧の話だ。

今ができていないということではない。しかし今以上に意識せずとも相手に対し穏やかでにこやかな挨拶が交わせる職場であれば、お客様に限らず職場の仲間とも今以上にコミュニケーションが良くなると確信している。

経営理念について

我が社における現在の経営理念は2008年に受講した経営ゼミの学びの中で生まれた。

「仕事に誇りを、社員に夢を 歴史を重ねるonly one 企業 それが株式会社マエダです」

それまでの経営理念は先代が創業者の作った経営理念に手を加えたものだと聞いている。

1.・・・ 2.・・・ 3.・・・・ と云う一般的な形式で書かれていた。

2001年、先代社長の急逝により私は実弟に「お姉さん正気?」と言われながらも専業主婦から社長になることを決めた。就任直後は役員はじめ社員には随分と迷惑をかけたに違いないと振り返って思う。実務経験がなく経営の基礎知識がない自分の言動で、周囲を振り回し困惑させた事も多々あった様に思う。

その様な中でとにかく一刻も早く経営の基礎知識を学ばなければならないと思った。幸いに会社の業績は安定しており、私は社長就任後しばらくして後継者教育を専門にしている二条先生の門をたたいた。それが出来たのは辞める人も無く、役員を筆頭に社員の方々が日々会社を支えてくれたおかげだ。

2008年、一通りの基礎知識を学んだ後、満を持し二条ゼミに入った。そこで徹底して自分を見つめ直す機会を得た。

「なぜ自分は親、兄弟から止められながらも社長になったのか」あの時の気持ちを思い出したときにスッと出てきた想いが上記の経営理念だった。

我が社の位置する業界にはまだまだ女性社長は少ない。男性優位の業界だと思う。就任当初は「よくやりますねぇ」「いつまで続くのか」「役員に頼っている名ばかり社長じゃないの?」といった視線も幾度となく浴びた。それでも応援し励ましてくれる業界の先輩方も少ないながらも身近にいて、その方たちの言葉が大きな支えになった。しかし一番の心の拠り所はやはり心の奥底から湧き出る経営理念にある想いだったと思う。

自分の経営理念を作って5年後の2013年、この想いは私が社長を退任するまでぶれることはないと確信し、ご縁のあった書家の若山先生に墨で認めていただき額装した。それが営業本部の応接間にある経営理念の額だ。

社員の皆さんにも一度じっくりと眺めていただければ嬉しく思う。

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